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オートロックって何の事

今から三十年以上も前の事、友人と二人で仙台の七夕に行った。
郊外のビジネスホテルに泊まり、そこからタクシーに乗り、仙台駅まで行った。

 動く七夕や、街中の飾りに釘付けになった。
 規模が違う。

 見るもの全てに目を奪われた。
午後七時頃から十時まで、歩いては食べ歩いては食べ、色々な所を見て回った。

「もう帰ろう」 タクシーに乗り、ニ十分位でホテルに着いた。
 部屋に入るなり友人が言った。

「俺、外で飲んでくるわ。若水ちゃんは?」 
「俺はいいや、シャワーでも浴びて横になるわ」そう言った。

 祭りの余韻が抜けなかったのだろう。
友人は、楽しそうに外に出て行った。

俺は部屋の鍵を閉めシャワーを浴びた。
シャワーを終え、ドアを開けた時だった。 

何か言い争う声がした。 
外からだ。

 ドアに耳を当て、覗き穴から外を見た。
しかし、誰もいない。

まだ、言い争っている。 
男と女だ。

俺は直感した。
これは事件だと。

俺はドアを少し開け、廊下を見渡した。
声がするのは、エレベーター横の自販機の所らしい。

俺は更に身を外に出し、片足をドアに挟んだ。
その時だ、「ドン」

ドアが閉まった。足が外れたか? 
慌ててドアノブを回した。

でも、ドアは開かない。なんで?
何が起きたか分からなかった。

チクショー、中に誰かいやがったな。
そう思った。

ドアをノックして「開けろ、コノヤロー」と怒鳴った。
その時だ、俺の声に気付いたのか、その争っていた二人が通路まで出て来た。

「キャー」 
女の方が言った。

俺は全裸だった。
俺は慌てて,首に掛けたタオルを腰にまいた。

「アンタ、何やってんだ、そんな恰好で」男が言った。
俺は心の中で言った。そりゃこっちのセリフだと。

「すみません、外で声がしたもんで、出たら閉まっちゃって」
「何やってんだよ、他人の話を聞いてんじゃねぇよ!」
そういうと二人は部屋に入ってしまった。

エッ、フロントに呼びに行ってくれないの…。
俺は一人残された。

もう一度ドアをノックした。
耳も当てた。

音はしない。
仕方なくフロントに行く事にした。

ここは七階だ。
エレベーターは都合が悪い。
バッタリ、人と会ったりするからだ。

俺は階段で一階まで降りた。
誰一人会わず、無事に降りられた。

そしてフロントに行った。
幸い、男の従業員だった。

早口で言った。
「七〇一、ドアが閉まっちゃった。早く開けてください、お願いします」 

従業員が言った。
「身分を証明できる物はありますか?」

この人は完璧な程に、今僕の置かれた状況を理解していなかった。
さすがに怒った。

「持ってるか!そんなもの!」
そう言うと、また階段を上がった。

部屋の前で待つ訳にもいかず、階段の出入り口で従業員を待った。
長く感じられた。

従業員は、エレベーターでやって来た。
「すみません」お互いに言った。

従業員がドアを開けてくれた。
免許証を見せると従業員は俺の顔を見て、ありがとうございました。

と言い、部屋を出て行った。
俺ね田舎者だから初めてだったんだよ。

オートロックってゆうやつを。

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