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電車じゃ席を譲るのか?

電車に乗った。人生でまだニ十回程度の時だ。十六の初夏だった。
幼い頃から母親に言われてきた。電車に乗ったら、必ずお爺さんお婆さんには席を譲るんだよと。

そして、身体の悪い人にも。免許の試験場からの帰りに電車に乗った。
席に座った。満席だった。間もなくだ、お婆さんが斜め前に立った。僕は席を譲った。

お婆さんは「ありがとうね」と言った。一駅目でお婆さんは降りた。
また「ありがとうね」と言った。 僕は席に座った。

次の駅、子供を抱いたお母さんが前に立った。席を譲った。
「ありがとうございます」お母さんは、三駅目で降りた。おじぎをした。

僕はお母さんが居た席に座った。 次の駅で乗り換えだ。 ここからが長い。
車両に乗った。席は空いていた。 もう、大丈夫だ。僕は安心した。

本当かよ・・・。二駅目で空いている席はなくなった。心から祈った。
扉よ、早く閉まれと。ベルが鳴った。その時だ。お婆さんがゆっくりと・・・。

もうダメだ。扉が閉まった。誰一人と席を譲らない。僕は席を立った。
お婆さんに近寄り「お婆さん、あの席どうぞ。」と手を引いた。

お婆さんは、僕を見上げてニコニコしてた。メガネをかけて、可愛いお婆さんだった。
お婆さんを席に座らせた。僕は前に立った。

二駅でお婆さんは降りた。勿論手を取り、扉まで見送った。
僕は、扉の近くに座った。四、五駅通過したと思う。車内はいっぱいになっていた。

駅に停まった。僕は祈った。 「あーもうダメだ!」また、お婆さんが入って来た。
席を譲った。下車まであと二駅だった。

「もう、乗らない。二度と電車には。」そう、心に誓った一日だった。

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