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スーパーの面接で

ある年に、スーパーの面接に行った。アルバイトの面接だ。
アルバイトの面接なのに、三回も店に足を運んだ。一回目は見学。

二回目は面接、三回目は適正検査。その二回目の面接の時だ。
普通なら「販売業は好きですか?」とか「包丁は使えますか?」とか「野菜は好きですか?」

とか「料理をするのは好きですか?」とか、そういった類の質問をしてくるものだと信じていた。
面接官は言った。「えーと、柔道をやってたんですか?」「あー空手もやってたんですね。」

「なら喧嘩なんかも強いんでしょうね。」一応答えた。「両方とも黒帯ですから」と。
面接官はこのスーパーの店長だ。店長は更に言う。「カワラは何枚位割れますか?」・・・

・・・怖くなった。それと共に、「アレッ、ここスーパーだよね?」自分の記憶を辿ってみた。
・・・合っている。確かに俺はスーパーの面接に応募した。間違いない。

家に帰り妻に言った。「新しく出来たあのスーパー、スーパーだよね?」
妻が言う。「何言ってんの?」 やっぱりスーパーみたいだ。

後日、店長が指定した日に適正検査を受けに行った。結果は連絡するという。
俺は数日考えた。店長が言った一言一句を思い出しながら冷静に。

俺の考えは固まった。「このスーパーは行っちゃダメだ!」と。
このスーパー、きっと何か悪い事をしていて、その片棒を俺が担がされるのだと。

例えば売掛金の回収とか、脅しまがいの商品仕入れとか、もう妄想は止まらない。
結局、スーパーからの結果が出る前にこちらから断った。

何か良からぬ事をさせられたら、やっぱり怖いと判断したのだ。
だっておかしいだろ。カワラが割れてスーパーに何の得がある?喧嘩が強くて何の得がある?

店長さん、俺はただこの新しいスーパーで、静かに穏やかに仕事がしたかっただけなんだよ。
何かやっているんでしょ?誰にも言わないから教えておくれよ、本当の事をさ。

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