FC2ブログ

記事一覧

火事見に行っちゃったの

 
 夜中の二時ごろだ、町のサイレンが鳴った。
火災のサイレンだ。
俺は急いで、服を着替えた。

別に街の消防団員ではない。
そしてお袋に言った。
「見に行かねぇのかよ」
「今何時(なんじ)よ」
「二時だ」
「こんなに遅くに行かないよ」
「じゃあ俺行ってくるわ」

火事を見に行った。
大火だった。
町の消防団員は、実に機敏だった。
いい働きをした。
同級生が数人活躍していた。
良くやった。

四十分後、家に戻った。
玄関の鍵を閉め、着替え床に入った。

どの位、経った時だろう。
何か音がする。
「トントン」
少し控えめの小さな音だ。
何か分からなかった。

気にしても、もう寝なきゃいけない時刻だ。
寝た。

また
「トントン」
という音がする。

何だよ、こんな遅くに。
音のする方向に、耳を傾けた。
「若水、若水、開けておくれよ若水、」
お袋の小さな声がする。
急いで玄関の戸を開けた。

お袋が外にいた。
開口一番言った。
「何であれだけ叩いているのに起きないんだ」

いや、そういう問題じゃないでしょう。
家の中で寝てなきゃいけないでしょ、パジャマ姿でさ。


スポンサーサイト



コメント

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

jakusui

Author:jakusui
FC2ブログへようこそ!

最新コメント

カテゴリ